根管治療について―特に抜髄について
2023.11.28
歯が痛んだら歯の神経は必ず取るの?
歯の根の治療ってどんなものがあるの?
こんにちは。安城市の神生や歯科医院院神谷繁彦繁彦です。
前に歯の神経についてできるだけ残す話をお話ししました。
しかしどうしても歯の神経を取らざるを得ない場合も多々あります。
また、前に歯の根の治療を行っても完全に治り切らずに病気が再発する時もあります。
今回は歯の根の治療についてお話ししましょう。
歯が痛む、また知覚過敏などで歯がしみる場合、我々歯科医はできるだけ歯の神経を残すように努力します。しかし努力をしても症状が収まりそうにないと判断した場合、歯の神経をとることになります。これを抜髄と言います。
つまり、「神経を抜きましょう」と歯医者さんに言われたら抜髄を行うということです。
しかし、神経を抜くという大事な治療にも関わらず、その原因や治療法を正しく理解してから治療を受けられる患者さまは少ないのではないでしょうか?
実は、すべての根管治療は抜髄で始まります。
ですから抜髄治療をきちんとやらないと何度でも痛みや感染が再発し、ひいてはその歯の寿命を大きく左右するのです。
歯科医院で抜髄をはじめとする根管治療を行った後に、痛みがとれず最悪の場合、抜歯と判断されてから「どうにかならないものか?」と悩んで来院される方が多くいらっしゃいます。
ご自身の歯を長く守っていくためにも、まずはしっかりと抜髄の原因や治療法を担当医に確認してみるとよいでしょう。
まず歯髄(しずい)とはなんなんでしょう?
これは前にも説明しました。一般的に「歯の神経」と言われる器官です。歯髄は、神経線維と血管で出来ていて、歯に栄養や水分を供給しています。
では、歯髄に炎症が起こるのはどんなときでしょう?これを歯髄炎と言います。
原因として一番多いのはむし歯によることが多いです。その他咬み合わせが高い被せ物、知覚過敏などがあります。また詰め物を行った後、または歯を削ったことが原因で切削熱が歯髄に伝わって炎症が起きることがあります。
一度、歯髄炎になってしまった場合、たとえ薬などで一時的に痛みが和らいだとしても、元の健康な歯髄に戻ることはなかなか難しい場合も多いのです。
どうしても元に戻ることが不可能であると判断した場合、局所麻酔を行って炎症を起こした歯髄を取り除かなければなりません。炎症を起こした歯髄を取り除く治療を抜髄と呼びます。
なお、この症状をそのまま放っておいた場合は、歯髄は壊死し、腐敗してしまいます。
その場合は、感染根管治療が必要となります。
その時、歯に水がしみるような症状はなくなってきますが、決して歯が治ったのではありません。歯髄が死んでしまったので感覚がなくなっただけの事なのです。
放っておくほど治癒率は低くなってきます。また治すのに時間がかかります。
また歯の根の先に菌がついて、炎症が歯の外に広がり、場合によっては細菌が全身に広がり、いろいろな病気を引き起こすことがあります。
さて、抜髄が必要となる症状は下記の通りです。
ズキズキと脈を打つように強く痛む、場合によっては原因となる歯の隣やかみ合わせの反対側(上の歯が原因でも下の歯が痛くなるなど)が痛かったり、頭痛がしたり、また痛みが強すぎて痛む箇所がわからなくなる。
また、原因となる歯に触れると飛び上がるほどの痛みがある。
入浴・運動・夜間就寝時など、体温が上がると痛みが強くなる。
飛行機に乗っていると上記のような症状が出る。(歯髄が死んでもこの症状は出ます)
痛み止めを飲むと少し痛みが和らぐが、薬が切れてくるとまた痛み出す。
冷たい水を口に含むなど、冷やすことで一時的に痛みが和らぐ。
熱い飲み物で歯が痛くなるなど。
いかがでしょうか。
上記の通り歯に症状が出たら、早めに歯医者さんにご相談ください。決して放っておかないことです。
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