感染根管治療—神経のない歯の根の治療
2023.12.13
神経のない歯の根の治療もできるの?
神経のある歯の根の治療とどう違うの?
こんにちは。安城市の神谷歯科医院院長の神谷繁彦です。
前に抜髄についてお話ししました。
今回は神経が死んでしまった歯、または再根管治療についてお話しします。
この治療を感染根管治療とよびます。
歯髄が何らかの原因で死んでしまった根管(神経のjは言っている管)を感染根管とよびます。また一度歯の根の治療を行ったにもかかわらず、菌が増殖してしまった根管も感染根管と言います。
まず前者、歯髄が死んでしまうのはどんな時?
むし歯の原因細菌による歯髄への感染、または切削熱などによる歯髄への刺激、咬み合わせが高い被せ物、知覚過敏、などが原因で持続的に歯髄を刺激すると、「歯髄炎(しずいえん)」と呼ばれる歯痛が起こります。
歯髄炎については前にお話ししました。
歯痛がある状態を放置しておくと、歯髄炎が進行して歯髄が死に、菌がつき、感染根管となります。
歯髄が死ぬと神経細胞がなくなるため、一時的に痛みがなくなります。しかし生体に抵抗するものがないため、感染は広がる一方です。
時間がたつと骨を溶かして膿(うみ)が溜まり、痛みと腫れが出ます。これが感染根管です。
また前に歯の根の治療を行っても時間がたつと、昔存在していた菌が何らかの原因で増殖したりすることがあります。これも感染根管です。
感染根管になってしまうと、繁殖した細菌は歯の内部の象牙質に侵入しながら、歯を支える歯根のまわりの骨を溶かして膿が溜ります。
これを根尖性歯周炎と呼びます。
根尖性歯周炎から炎症が広がり、歯根膜に広がると、歯根膜炎となります。
あまり放置しておくとや根尖病巣となり、それでも放置した場合、歯根嚢胞(という海の袋を歯の根の先に作ります。
大変なのはこれらの病巣がもとになって全身に菌が回ってしまうことです。
よくある病気はリウマチ、心内膜円、腎臓病などです。中には皮膚に湿疹ができたり掌蹠嚢胞症になることもあります。
症状について、
治療を始める前にて一時的にズキズキする痛みや腫れが出る場合があります。これを急性期といいます。
また根の先に膿は溜まっているが痛みが出ない場合があります。これを慢性期といいます。
症状としては、普段は痛みがないが、疲れているときや体調が悪いとき、歯の付け根にうずき・鈍痛が起こる。
歯肉(しにく)を押すと違和感がある。
ものを咬むと違和感がある。
走ったり階段を駆け降りたりすると上の奥歯が痛む。
歯肉に小さな穴があいており、そこから膿が出ている。
歯肉が腫れたり、潰れたりを繰り返しているなどです。
。
感染根管の処置について、死んでしまった歯髄とその周りの汚れた歯の根の回りを同時に清掃消毒しなければ溜まった膿は無くなりません。
このような治療を感染根管治療と呼んでいます。汚れがなくなると溜まった膿は自然になくなります。
慢性期
慢性期は普段は痛くないけれども、体調が悪いとき(疲れているときや発熱しているとき)に鈍痛が生じます。
感染根管の治療方法jは次の通りです。
麻酔
通常、急性症状のある時は局所麻酔で治療を始めることも多々あります。
非常に痛みが強くて麻酔が効きづらい場合は、抗生物質と鎮痛剤で急性症状を和らげてから治療をする場合もあります。
根管治療前の準備として、唾液が根管内に入らないよう、必要に応じて隔壁を作って根管内に唾液が入らないようにし、ラバーダムを装着します。
ラバーダムについては前にお話ししました。
そして感染した歯髄などを除去して、ファイルという器具で根管をお掃除します。
一度に歯の根の先に器具を入れると細菌叢が変わり痛みを引き起こすことがありますので、徐々に薬を薬を効かせていきます。
抜髄と違って歯の中に菌が入り込んでしまうことも多く、しっかり薬を効かせないと症状が再発してしまう割合が抜髄よりも書かうなる傾向があるようです。
根管内のお掃除が終わったら、根管内を薬品で洗浄し、根管内を殺菌します。
そして、根管内の殺菌が終わったら、ガッタパーチャとシーラーで根管を充填します。
再感染しないように、隙間なく詰め物をします。
根尖の崩壊が大きすぎて規格化されたガッターパーチャでは緊密に充填できない場合はシーラーのみを充填する場合もあります。
いかがでしょうか。
前にも申し上げましたように、感染根管治療は抜髄より菌が中に入り込んでいることが多く、再発率も上がります。
できれば神経が死ぬ前に根の治療を行いたいものです。
いや、それ以前にこのような状態にしないよう、早期発見、早期治療を心掛けたいのです。
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