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歯周病治療と補綴保存治療、どっちが優先?

2023.09.08

早く歯を治してほしいけれど、歯ぐきの治療が先と言われた!

被せ物を入れたけれど歯ぐきの治療をしたら被せ物が合わなくなってきた!

こんにちは。安城市の神谷歯科医院院長の神谷繁彦です。

よくうちの診療室に歯周病(歯ぐきの肉の炎症)を持って、なおかつ補綴保存治療が必要な症例の方が来院されます。どっちを優先して治療したらいいのでしょうか?

答えは歯周病治療です。

先に補綴治療を行って後から歯周病治療を行ってしまうと、あとで歯周病の組織が安定し歯肉が引き締まった時に補綴物が合わなくなることがあるからです。

よって、歯周病患者における補綴歯科治療(クラウン、ブリッジ、義歯など)の時期については,「歯周組織が治癒した後に補綴歯科治療を行うこと」が原則です。

ここで言う歯周組織の治癒とは,歯周ポケットの深さが 3mm 以下で、検査時の出血

がないことを目安とします。

 

そして,歯周治療の過程における原則は,以下のとおりです。

補綴歯科治療時期の原則:

  • 歯周病患者における補綴歯科治療については,歯周組織検査に基づき治療計画が立っていること
  • 歯周基本治療後の再評価が行われ,必要に応じて歯周外科治療が終了していること。
  • その後の再評価の結果により,歯周組織の治癒が得られ,補綴歯科治療に移行してよいと判断できること。

 

まず、患者さんが歯医者に来院されたときは、当然ながら主訴(一番気になるところ)の治療を行います。

ある程度治療が進んだ(歯がしみなくなった、歯の根の治療にきりがついたなど)ところで歯周病治療に入ります。

歯周病については中年期以降の日本人の約 8 割が罹患する炎症性疾患です,

口の中の健康のみにとどまらず,全身の健康状態にもさまざまな影響を及ぼすことが知られています。

歯周治療の基本は炎症のコントロールです。

このために歯と歯周組織に付着したプラークなどの歯の汚れを徹底して除去することが必要です。

歯科医師・歯科衛生士が行うスケーリング・ルートプレーニングと,患者自らが行うブラッシングなどの日々の口腔ケアがこれにあたります

中等度以上に進行した歯周病患者の治療においては,炎症のコントロールのみならず、外傷のコントロール(かみ合わせの力)が重要になってきます。

これは支持組織の破壊によって通常のかみ合わせの力であっても歯が動くようになったり、歯が抜けてしまうこともあるからです。

よって、歯周病患者の治療においては,治療の初期段階から咬合力の軽減と分散をはかるようにします。

よって歯周基本治療の段階から,咬合調整,暫間固定,暫間補綴などを行って外傷力をコントロールし,歯周組織へのダメージを最小限に抑えることができます。

そのために本格的な補綴治療を行う前に暫間補綴装置が必要となる場合があります。

 

いかがでしょうか。

歯周病が重度の場合、かぶせ物が必要な場合であっても歯周病治療を先に行ったほうが出来上がりはきれいにできます。

次に最後にお話しした斬間補綴装置についてお話しします。