誤嚥性肺炎その2 疫学、症状、治療法など。
2021.12.05
こんにちは。安城市の神谷歯科医院」院長の神谷繁彦です。
前回誤嚥性肺炎の概要についてお話ししました。
今回はもう少し突っ込んでお話しします。
誤嚥性肺炎は嚥下機能の低下した高齢者、脳梗塞後遺症やパーキンソン病などの神経疾患や寝たきりの患者に多く発生します。
前にも申し上げた通り、肺炎球菌や口腔内の常在菌である嫌気性菌が原因となることが多いとされます。
よって誤嚥性肺炎には、食べ物や飲み物、胃から逆流した内容物が誤って肺に入った時に咳反射で排出できず発症するタイプと 睡眠中に増殖した口腔内細菌を気付かずに誤嚥することによって発症するタイプがあります。
要介護高齢者では後者の 不顕性誤嚥が特に多く、誤嚥の自覚がないため繰り返し発症しやすいという特徴があります。
高齢者や神経疾患などで寝たきりの患者では口腔内の清潔が十分に保たれていないこともあり、この場合、口腔内で肺炎の原因となる細菌がより多く増殖してしまいます。
また、高齢者や寝たきり患者では咳反射が弱くなり嚥下機能が低下します。
その結果、口腔内の細菌が気管から肺へと吸引され、肺炎を発症します。
また、栄養状態が不良であることや免疫機能の低下なども発症に影響します。
他には嘔吐などで食物と胃液を一度に多く誤嚥して発症する場合もあります。
発熱、咳、膿のような痰の排出が肺炎の典型的な症状ですが、これらの症状がなく、なんとなく元気がない、食欲がない、のどがゴロゴロとなる、などの非特異的な症状のみがみられることが多いのが誤嚥性肺炎の特徴です。
高齢者の誤嚥性肺炎は、免疫力の低下した状態で細菌の増殖した食べかすや唾液を誤嚥すると、 発症のリスクが高まります。
よってリスク因子に対する予防が必要となります。
誤嚥が明らかな場合や嚥下機能低下が確認されている患者では胸部エックス線写真で肺炎像を確認することで診断できます。
白血球増加や炎症反応の亢進も重要な所見です。
寝たきりの高齢者など誤嚥性肺炎の高リスク患者で肺炎が発症した場合には、この病気を疑います。
そして明らかに原因が不顕性であった場合、抗菌薬を用いた薬物療法をおこないます。
呼吸状態や全身状態が不良な場合は入院して治療を行います。
同時に口腔ケアの徹底、嚥下指導も重要です。ここが歯科の出番です!
予防法については次回にお半視したいと思います。
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