誤嚥性肺炎―林家こん平さんを悼んで
2020.12.23
(2020年12月23日更新)
こんにちは。安城市の神谷歯科医院院長の神谷繁彦です。
先日、日テレ系「笑点」の解答者として知られる落語家の林家こん平さんが誤嚥(ごえん)性肺炎のため死去したことが分かりました。
林家こん平さんと言えばテレビの「笑点」を思い出します。
死因の誤嚥性肺炎については3か月くらい前にここで書きましたが、再度書かせてもらいます。
誤嚥性肺炎とは、誤嚥(食べ物や唾液などが誤って気道内に入ってしまうこと)から発症する肺炎です。
誤嚥性肺炎の発症には、飲み込みに関係する機能が低下している(嚥下機能障害)ことが背景にあります。
肺炎は、近年日本人の死亡原因第3位という高い割合を占めています。
入院を要した高齢患者の肺炎の種類を調べたデータによると、80歳代の約8割、90歳以上では9.5割以上が誤嚥性肺炎であったと報告されています。
つまり、後期高齢者の肺炎のほとんどは誤嚥性肺炎が起こっていると考えられるのです。
通常、私たちが口の中へと運んだ食べ物は、普通に飲み込んだ時は咽頭を経て食道を通り、胃へと送られます。
ところが、飲み込み(嚥下)の機能が衰えると、食べ物が誤って気管に入ってしまうことがあります。
こうした飲み込みに関する障害のことを、嚥下障害と呼びます。
嚥下障害が存在すると、唾液や食べ物などと共に細菌も気道内に入り込み、肺炎が誘発されることになります。
これらの細菌は口腔内に常在するものであることが容易に想像されます。
また特に注意しなければいけないのが不顕性誤嚥です。
特に高齢の方は反応が鈍く、症状がなくても誤嚥をしていることが多々あります。
予後の改善のためには、目に見えない不顕性誤嚥も見落とさないよう気を配ることが大切です。
年齢を重ねるにつれて嚥下機能が低下していくのは避けられません。
よって誤嚥性肺炎のリスクを下げるには徹底的に口腔内を清潔に保つことが重要になります。
そのためにもむし歯や歯周病をいち早く治療することはもちろん、治療後のケア(口の中を清潔に保つこと)も大切です。
定期健診で、常にご自身のお口の状態を把握し、健康な身体を維持しましょう。
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